薪ストーブの煙突

薪ストーブの住宅には煙突があります。

薪ストーブの煙突からの風景

煙突がなければ暖炉から大量発生する煙が困ります。

薪ストーブと一心同体である煙突はただの飾りではありません。 「この家には暖炉と煙突がありますよサンタさん!クリスマスだけではなく平日でも 大歓迎ですよ!」とのメッセージを発するための物ではなくきちんとした機能を 備えているので、薪ストーブをリノベーションで手に入れるのならセットで煙突も 設置しなければならないのです。 煙突目当てで暖炉を欲するのなら抜かりなく一緒にオーダーするでしょうが、ただ リビングに暖炉のある家庭に憧れている方の中にはこの縦に長い形状の存在をスルー しがちのようなのです。 煙突はサンタクロースの通路としての役割だけではなく、薪ストーブで炎と同時に 生み出される煙の退路としての役割も持っています。 これがなければ部屋の中に行き場を失った煙が充満して中の人が呼吸をするのを 妨げて健康を害する恐れもあるので、絶対になくてはならない装置です。 穴の空いていない天井しかない住宅でもしも焚き火をして焼き芋を調理したらどう なるか、想像してみればどんな状況になるのか分かりやすいでしょう。 秋空に昇っていくはずの煙が天井に阻まれ、部屋の中に長期滞在することになり ますから壁や天井は煤で汚れてしまいますし、それほど新鮮ではない空気もどんどん 煙に置き換えられていくことになります。 焼き芋が完成する頃には視界も相当悪くなり、ソファに座ったままではテレビ画面 に映し出される映像をはっきりと視認することもできない劣悪な環境になって しまい、それが字幕の洋画であったのならストーリーを理解することができなくて 途中で観るのを止めたくなるでしょう。 吹き替え版ならば音声だけでそこはかとなく話の流れを掴めそうですが、字幕版で 登場人物が全員ポルトガル語で会話をしていたら日本人では到底理解できません。 煙突無しの薪ストーブではそのような事態になってしまうので、ホームシアターの 設備のある映画好きな人が住まう注文住宅なら絶対に欠かせませんし、窒息死したく なければやはり必要となるでしょう。 また煙突はただ穴が空いているだけではありません。 上手に煙を空に放つためにはしっかりと計算して設計されていなければ役目を完璧 に果たすことができないので、素人が適当に暖炉の真上に筒状の物体を取り付けて 「よしオッケー、ミッションコンプリートだね」と浮かれてはなりません。 煙突内部が熱を持つことで上昇気流が発生し、その作用で薪ストーブにくべられた 燃料がいい具合に燃焼する仕組みとなっているからです。 なので建築設計工房のような専門店にオーダーして優秀な煙突を手に入れないと、 薪ストーブの性能をいかんなく発揮することはできないでしょう。 煙突のメンテナンスですが、煤が内部に溜るのでお手入れをしないわけにはいきません。 冬に稼動させたら春がやってくる前に、煤を取り除いてあげましょう。 毎年数ヶ月間しか使われずそれ以外の期間はそれほど汚れないので、年に何度も 何度も掃除する必要はなく、汚れが溜って役目を終えた頃にお掃除するだけで充分 と考えてもよいでしょう。 人によっては年に3回や4回もの清掃を推奨されるかもしれませんが、せいぜい シーズン前とシーズン後の2回で問題はないと思われます。 業者に依頼してもいいですがやり方を伝授してもらい自分達で行っても大丈夫です。 最初の1回は手間取るかもしれませんが、慣れればそこそこスムーズにキレイに 磨けるようになるでしょうから、専用ブラシを購入する際に教わるといいでしょう。 全くメンテナンスをしないまま長年薪ストーブを使い続けていると、内部が煤で真っ黒 になって美しくありませんし、そこを通るサンタクロースが可哀想です。 往復するだけで全身真っ黒になり、赤と白の一張羅が台無しになってしまいます。 そんな悲劇が起こらないよう定期的にお手入れしましょうね。